The world is my oyster

有り余る時間  暇人の日記

父と鎧とひこにゃんと

さて、話は戻りますが、日本帰国時の実家での出来事。

 

うちの父は工作が趣味で、仕事をしていたことから、どんなに忙しくても毎年のお正月には木工版画の年賀状を刷っていました。

 

多色刷りなので1枚仕上げるために、数枚の板を掘らなければならない上に、友人・知人用と仕事関係の人用のモノを分けたり、母の分まで作ってあげたりしていたので、これまでに相当枚数の版画がたまっていると思われます。

 

さらに退職後、父の情熱は彫るから削るへと広がっていき、もう5年以上能面づくりにはまっています。朝からカンカン・ドンドンやるので、下の部屋で寝ている私は毎日ノミ音のモーニングコールで目が覚めるわけです。

 

そんな感じで、趣味ライフはかなり充実していると思われる父ですが、今回の帰郷時に新たな趣味が増えていることが発覚しました。

 

それが、鎧づくりw

 

嬉しそうに「鎧をみせてやる」と言う父に連れられて元私の部屋にはいると、そこに鎮座するのは井伊家の赤備え(あかぞなえ)の鎧と兜。

 

私が自立してからは、かつての子供部屋を書斎のように使っていた父ですが、今やここは作業工房。いたるところに能面を彫ったときの削りくずがちらばり、様々な本や図鑑などの参考図書が積み上げられ、父の趣味がごった返した部屋となっていました。

 

そんな部屋に父の力作、井伊家の赤備えも置いてあったのです。元子供部屋のちょっとメルヘンな壁紙がそのまま残された部屋に、厳めしい赤備えの甲冑。そのミスマッチさに思わず笑ってしまいました。

 

もちろん、父は鍛冶もなめしもできないので、材料は全てホームセンターで手に入れられるものばかり。基本的には鉄片の代わりの小さく切ったプラバンを使い、それを革ひもの代わりにひもでつないで、おどしてありました。

 

偶然にも私は、ゲームの無双シリーズにはまっていた時期があり、戦国も三国もやりこんでいましたし、その影響もあって司馬遼太郎の時代小説も読んだことがあったので、戦国時代の武将名とか、各武将の鎧の特徴、剣の名前にはなんとなくなじみがありました。

 

無双シリーズ:一騎当千の爽快感を売りにしたアクションゲーム。中国の三国時代の合戦を舞台にした三國無双から始まり、同コンセプトで戦国無双が生まれたが、トロイ無双が出たあたりから風向きが変わり、今や北斗の拳無双やワンピース無双などその広がりは留まるところを知らない。

 

しかし、私のそんな趣味を知らなかった父は、説明する前に私の口から「赤備え」とか「井伊家」という言葉が出てきたのを聞いて、ものすごく驚いていました。

 

ちなみに、井伊家の赤備えは、彦根のゆるキャラひこにゃんがつけているモノです。兜から左右に大きく伸びる角のような横立てが印象的なので、覚えている方も多いのではないでしょうか?

 

ひこにゃん:彦根市の公式ゆるキャラ。デザイナーとの間に長年にわたって著作権問題を抱えていた。頭は赤揃えの兜で防護されているが、体のほうは全裸であり、戦場での致死率を大幅に上げていると思われる。

 

私が戦国時代についてそこそこ話せる相手だということに気を良くした父は、日本の甲冑についての解説本を貸してくれました。

 

【決定版】図説・戦国甲冑集

【決定版】図説・戦国甲冑集

 

 

安土桃山から江戸時代の甲冑一覧がメインの鎧図鑑的な本なのですが、時代ごとの戦法の変遷とそれに伴う鎧の変化の解説もあり、結構よみごたえがあります。

 

弓で戦っていた鎌倉時代、刀や槍で戦っていた室町から安土桃山時代前期、鉄砲が導入された安土桃山時代後期と、戦法の変化によって甲冑も進化を遂げているそうで、一冊読めば、どこかの博物館で鎧を見た時に、その特徴からざっくりと時代の特定ができるようになれそうです。

 

そういえば、ヨーロッパでは武器博物館とか兵器博物館と言われる場所が結構あって、観光地として開放している古い要塞やお城の一部を利用して、甲冑、刀剣、戦斧などなどの武器を展示していたりするんですが、日本ではそういうのはあまり見かけないような気がします。

 

私が行ったことがないだけで、東京の方にはあるんでしょうか?

 

ちなみに、ヨーロッパではドイツに日本の鎧博物館があるようです。去年facebookで見かけて、いつか行きたいなと思っていたのですが、この実家での鎧との出会いを機に行ってみてもいいなぁ。

 

公式ウェブサイト:Samurai Art Museum - Home