The world is my oyster

有り余る時間  暇人の日記

ライデンで日本の甲冑展

今日のオランダの天候は強風のち小雨。典型的な冬のどんよりとしたお天気でした。

 

こういう日は気がめいらないように出かけるのが吉!、ということで、ライデンのシーボルトハウスという博物館まで行ってきました。

 

シーボルトといえば、江戸時代にオランダ経由で日本やってきたドイツ人医師であり学者でもあった人です。彼はヨーロッパに戻ったのちにオランダのライデンに住んだため、今もこの地にシーボルトが日本で収集した物品を展示する博物館があるのです。

 

ちなみに、当時鎖国中だった日本では外国人の管理がとても厳しかったようです。日本は中国とオランダにしか航行を許していなかったので、ドイツ人だった彼もオランダ人を装って来日しました。

 

ところが、彼の訛りが強くて、日本人に言葉の訛りを指摘されるという痛恨のミスを犯したんだとか。幸い、国籍がばれることはなかったそうですが、西洋の言葉を知らない日本人に指摘されるなんて、よっぽど強いドイツ訛りだったんでしょうね。

 

さて、話を博物館に戻しましょう。この博物館は常設展示の規模はそんなに大きくないのですが、企画展が非常に面白いく、ヨーロッパではあまりお目にかかれない日本に関する展示が非常に充実しています。

 

私はヨーロッパに来てからというもの、自分が日本の芸術や伝統、文化に疎いことに気づかされることが何度かありました。たとえば、私は15~16世紀のイタリア絵画が好きなのですが、じゃあ、そのころの日本の芸術ってどんな物だったんだろう?と考えると、全くわからなかったりするのです。

 

そんな時、手近なところで日本文化を学べるのがこの博物館なのです。日本人なら生活の中で見聞きはしてきたものの、実はよく知らないといった分野を簡潔に説明してくれます。まさに、かゆいところに手が届く、といったところでしょうか。

 

さて、今回の企画展は「仮面の戦士」ということで、日本の安土桃山時代以降の甲冑と能面とのつながりを解き明かすという企画です。

 

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ちょうど実家で父から能面や甲冑の話を聞いて興味を持っていた私には、すごくいいタイミングの企画でした。恥ずかしながら、私は父の趣味が能面彫りと甲冑作りだと聞いても、そのつながりに今ひとつぴんと来てなかったんですけどね。

 

しかしよく考えてみると、信長は暇さえあれば「敦盛」を舞っているイメージがあるし(え?それはあまりに勝手すぎるイメージですか?)、能と甲冑は武士文化を介して確かにつながっているんだなと、この展覧会で気づかされた次第です。

 

織田信長:惜しいところで本能寺の変に遭い日本統一を逃した残念な男性。「1582(イチゴパンツ)で本能寺の変」の語呂合わせは、受験という戦を生き抜く受験生をほっこりさせる。

 

能にせよ茶道にせよ、鎌倉時代以降に日本で興った文化や潮流は、当時の支配階層であった武士とのかかわりを断つことができなかったのでしょうね。

 

さて、展示内容で印象的だったものをいくつか。

 

まず、最初の部屋で流れていたフランス人の甲冑コレクターの話が、

「僕が日本の甲冑に初めて出会ったのは、スターウォーズでした。ダースベーダーが着てたものがそれなんですが、僕には新鮮で、とにかく夢中になりました」

みたいな感じだったのには、ちょっと驚かされました。

 

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前田家の鎧について説明するコレクター(上)

 

まさかそっち方面から鎧沼にはまったとは、世の中、何が起こるかわかりませんね。

 

鎧はこんな感じで、全部で7~8体はありました。

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メインは甲冑そのものではなく、兜の面頬と能面の比較なんですが、どちらかというと兜にばかり目が行ってしまいました。

 

武器というより工芸品・調度品と呼ぶ方がふさわしい短筒(ピストル)も展示されていましたよ。

 

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繊細な唐草模様に葵の御紋を配した模様が美しい♪(上)

 

そして、マリン柄の短刀も!

 

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マリン柄って数年に1回くらいブームが来ますからね。きっと当時もブームで、裃の代わりにセーラー襟、袴はボーダーがナウい!みたいな感じだったんでしょうね。

 

ナウい:半世紀近く前に流行した若者言葉。当世風という意味とは裏腹にレトロさを感じさせ、古語の今様(いまやう)と同じ矛盾をはらむ。

 

というのは冗談で、実際は日本の近代海軍の創立に貢献したオランダ人に対して時の将軍が贈った記念品だそうです。それにしても、海軍作りに携わったからマリン柄って、デザインが安直すぎるw

 

こんな感じで、かなり楽しめた展覧会でした。

 お近くにお越しの際はぜひ寄ってみてください。

 

公式ウェブサイト

www.sieboldhuis.org