暇人に「飽き」は大敵
今日、暇人の大先輩に会いました。
彼女は、既に10年以上を海外で暇を持て余しながら暮らしているそうです。一時期はお子さんが出来てだいぶと忙しくなったようですが、今はお子さんも学校に行っていて、昼間が暇で困るとおっしゃっていました。
彼女は最近オランダに引っ越してきたので、何か面白い習い事や暇つぶしがあったら教えてほしいと言われ、私を含め数人が思いつく限りの方法を教えたのですが、すでにどれも経験済みという筋金入りの暇人の大先輩でした。そして、これまでやってきたどの暇つぶしにも飽き飽きしていて、何か新しいことを探しているそうです。
暇というのもここまで来ると本当に厄介です。暇人にとって最大の敵は「飽き」です。飽きるとこれまで楽しくできていた暇つぶしが、一気に苦痛な作業に変わってしまいます。
仕事であれば、ちょっとくらいの苦痛もお金をもらっているんだから仕方がないと思えますが、暇つぶしの場合はむしろお金を払っている場合が多いので、そういうわけにもいきません。
そもそも、暇な時間が多くて苦痛だから暇つぶしをしているのに、その暇つぶし自体にストレスを感じるのは本末転倒です。こんな暇つぶしは百害あって一利なしです。
昔、こんな言葉がありました。
諦めたらそこで
試合終了ですよ
井上雄彦先生 スラムダンクより
安西先生の発したこの素晴らしい言葉は、苦境に立ちいった場合にほぼすべての状況に当てはまりますが、唯一暇つぶしにだけは当てはめてはいけません。
「最近〇〇やってても全然楽しくないけど、これを乗り切れば新し境地が開けるかもしれないからもう少し続けてみようという」のは危ない発想です。暇つぶしは「きついな」と思った瞬間に即中断してください。
そもそも、漫画というものは暇な人しか読まない割には、忙しいなか困難も乗り越えないといけないという猛者向けに描かれています。つまり、ねじれの構造があるわけですね。
ですから、これを暇人が知らずに生活に取り入れようとすると、誤った方向に導かれてしまう可能性が非常に高く厄介です。私たちのような暇人は、試合のコートにすら上がっていないのだから、そもそも発想の根本からして違うのだということをもう少し自覚しましょう。
ただ、世の中にはストレスがないことがストレスだ!という方もいらっしゃると思うので、そういう方のみ、自分を削る暇つぶしを追求されればよいかと思います。
また、最初は暇つぶしとして始めたことにのめりこんで、もっと本格的にやってみたいとか、これを仕事にしたいとか思った場合も、どうぞお気のすむまでお続けください。それはもうただの暇つぶしではなく生きがいとかタスクとか、いろんなしがらみをはらんだものなのですから。
暇つぶしというのはあくまで時間をつぶすためにふける行為であるべきです。そこに特別な思い入れやこだわりは不要です。ですので、一般の良き暇人の皆さんにおかれましては飽きたと感じた瞬間に辞めるのが得策かと思います。
さて、勘のいい皆さんはすでにお気づきかと思いますが、飽きたからと言って簡単に暇つぶしをやめてしまうと、これまで順調に消費できていた暇な時間が戻ってきてしまいます。これは有り余る時間の使い道に頭を悩ます多くの良き暇人にとって死活問題です。
というわけで、次回は飽きない暇つぶしについて考えていきましょう。